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第10話 父親に戻れる夜

last update تاريخ النشر: 2026-09-23 21:36:31

第10話 父親に戻れる夜

 午後六時二十七分。

 如月蓮が店へ駆け込んだとき、葵はすでに窓際の席に座っていた。

 高級店ではない。大学から二駅離れた場所にある、小さな洋食店だった。

 昔、まだ葵が小学生だった頃に何度か家族で来たことがある。オムライスとハンバーグが評判で、店内には今でも木製の椅子と古めかしい照明が残っている。

 蓮がこの店を選んだ理由を、葵が覚えているかどうかは分からなかった。

「三分遅刻」

 席へ着くなり、葵が言った。

「三分くらい許せ」

「父さんの場合、その三分が三十分になるから」

「今日は本当に仕事を切り上げて来たんだぞ」

「当たり前でしょ。約束したんだから」

 正論だった。

 蓮は黙って椅子へ座る。

「何だよ」

「別に」<

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